コストダウンについて
今回は某ソコソコ有名企業の製造分部門の生産管理担当を約10年経験してきたakasatinaによるプチコンサル的な記事になります。
徹底的なコストダウン
僕は今、勤めている会社でコスト削減を相当やってきました。もう嫌になる程です。営業さんは売上で数字を持たされますが、生産担当は原価削減の数字を持たされるのです。散々コスト削減をしてきたのは良いのですが、協力会社さんやお取引様からは相当、嫌われてたんではないかと思います。コスト削減の合計額は内緒ですが相当な額をやりました。自分が貰ってきた給与累計の約1.5~2倍位は削減してきました。やり方に正解はありませんが、定石というか割とポピュラーなやり方があるので紹介します。ECRSの原則を使うのです。
ECRSって何?
実は僕が散々コスト削減をやった後に教えてもらったのがECRSの原則です。これは今から5年前くらいに上司だった方から教わりました。ECRSは改善の切り口を下記の頭文字からとって組み合わせた言葉ななります。(イクルスとも言うらしい)
[aside type=”normal”]ECRSとは
Eliminate:やめてしまう。なくす。捨てる。
Combine:業務や工程をまとめる。
Rearrange:作業方法や工程、仕様を変える。
Simplify:簡素化する。[/aside]
確かに過去にやってきた色々なコストダウンの改善方法を思い返してみると、いずれも上記の分類のどれかかに区別されていました。
これからコストダウンをする方へ
もし、コスト削減をするのであればご自身が担当している業務や領域の中でキャッシュアウトが大きいものを、ターゲットとしていくつか候補を絞り出してみてください。当たり前ですが、分母が大きいキャッシュアウトほど改善効果も大きくなる可能性を秘めています。”切り口”の例としては、例えば自社の生産ラインで発注や購買している作業項目や部品単位で原価の額を比較してみる。(この部品の発注額がダントツだ。とか)材料調達先への発注額を発注先のベンダー単位で発注額を比較してみる。(長年付き合っているこの会社に相当な額を発注している。とか)勘定科目別に発生している原価を科目ごとに比較してみる。(材料費と光熱費がとても大きい。とか)等々です。そして、額が大きいものをターゲットとして絞り込んだらECRSの順番、着眼点で何か改善出来ないか?一つ一つ現場に行って、現物を見て、現実的に考えてみるのです。所謂、3現主義というやつです。(最近はこれに原理、原則を加えた5ゲン主義になっていますが)改善の効果が出そうであれば金額をシミュレーションしてみるのです。長年、変わっていないような業務や工程、発注先であれば、現状のやり方が最高のやり方である可能性は低い場合が、ほとんどではないか?と僕は疑うべきだと思います。また、上記記載した取っ掛かりの”切り口”についてどこに手を付ければ良いのか?アタリを付けられない。何にキャッシュアウトがいくら使われているのか?を集計や比較するのが大変!という方はもしかしたら会計の仕組み自体に問題又は課題を抱えているのかもしれません。コスト削減をする前段階での課題ですね。
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このような場合は世の中の一般的な企業はどのよう会計システムを使っているのか?自社の会計システムはなぜこうなのか?特別なルールがあってロジックが複雑化してないか?どうすれば見える化出来るのか?等、会計の仕組み等を見直すのです。
どんな時にコストダウンが必要か?
自社の経営状況が良い時ほどコスト削減をしておくのが良いのです。会社の業績が悪くなった時、持ちこたえられる企業は普段からコスト削減をしており、強い体質というか、基盤を持っています。業績が良い時は改善する為の資金があるのですから、いざって時の備えをしておくのです。改善する為のテストや老朽化した機械のリプレイスなんかに投資がし易いのです。逆に業績が悪くなってからコストダウンをしようとしても会社は設備投資に消極的ですし、そこからコストダウンをしようとしていたんでは手遅れですよね。
当たり前なんで書きませんでしたが、投資については費用対効果はしっかり試算しなければいけません。例えば固定資産となれば減価償却費の計算もありますし、保守、メンテナンス費用等の、ランニングコストの考慮も必要でしょう。これらの費用が現状のコストよりも低くなり、投資費用と比較しコスト削減効果がいつから見込めるのか?投資回収がいつ終わるのか?計算するのです。数年先に発生するコスト削減効果を毎年、コツコツと仕込んでおくのです。そして、いつの日か業績が突発的に悪化しても持ちこたえられるだけの体力が備わるのです。これが出来ない会社が多いこと多いこと。そして原材料の高騰や業績が悪化した頃になって、久々に営業が訪問してきたかと思うと、単価を上げさせてください。と泣きついてくる取引先が必ずいるのです。こんな取引先は普段から企業努力をろくにせず、世の中の流れに身を任せていたツケが回ってきたんでしょうね。アリとキリギリスで言う所のキリギリスでしょうか?
お客様への還元も忘れずに
そして、コストダウンで得たキャッシュはどう使うか?
コスト削減で得た利益は次の世代に向けた更なる改善への投資ももちろんですが、市場価格と相対的に比較し、自社のプライシング設定が妥当なのか?定期的に見直し、値下げをしていく!というのも戦略として時には有効です。(お得意様やロイヤルカスタマー向けの一時的な決算キャンペーンやクリアランスセールなんかもアリですよね)この辺は企業ごとに戦略があります。自社を取り巻く競争環境がどうか?シェアはどうなのか?自社の戦略がコストリーダーシップ戦略なのか?ブランド戦略なのか?等で考え方が違って来ますので一概にコレが良いとは断言出来ません。。。
まとめ
このように、業績が良い時こそ、コストダウンをしていくゾッ!という強い気持ちが大切です。私は自社の業績がこんなに良いのに何故ここまでコストダウンする必要があるのか?若い頃は不思議でした。ですが、その後業績が悪化した時に、会社が持ち応えて、耐えて来れたのは業績が良い時でも楽をせずにコストダウンをしっかりやって、外部の環境変化に強い体質を手に入れていたから、なのだと思い知らされたのです。業績が良いからといって、現状を維持して改善の手を止めた時、あなたの会社の衰退は静かに始まっているのです。
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